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音楽資料室中世ルネサンスバロック古典・ロマン派近現代解説項目

ルネサンス

時代背景
ルネサンス音楽概観
作曲者とその作品
Dufay
  生涯
  音楽史上の位置
  Nuper rosarum flores
Ockeghem
  生涯
  音楽史上の位置
  Missa Pro Defunctis (Requiem)
Josquin des Prez
  生涯
  音楽史上の位置
  La deploration sur la mort de Johannes Ockeghem
  Missa Pange Lingua
Palestrina
  生涯
  音楽史上の位置
  Dum Complerentur
Lassus
  生涯
  音楽史上の位置
  Pater Abraham
Byrd
  生涯
  音楽史上の位置
  Ne irascaris Domine
Victoria
  生涯
  音楽史上の位置
  O magnum mysterium

Roland de Lassus(c.1532-1594)
ローラン・ド・ラッスス

最終更新日: 2002年3月24日
[Lassus]->[音楽史上の位置]

音楽史上の位置

16世紀の末期には、150年以上の長きに渡ってヨーロッパの音楽をリードし続けた フランドル楽派 の 音楽も、ついにその終焉を向かえようとしていた。その要因としては イタリアを中心とした劇的な音楽への嗜好の変化や、フランドル地方が スペインからの独立戦争に突入したことなどがあげられる。

そのフランドル楽派の最期を飾る巨星がラッススである。彼の音楽書法の中には 当時のヨーロッパのすべての技法が含まれていると言っても過言ではない。 フランドル伝統の 通模倣様式 や、 ヴェネツィアで生まれた 複合唱 の 様式、そしてイタリア・ マドリガーレ に 見られる 音画法 や 半音階法などは、すべてラッススの中に取り込まれて活用されることになる。

そして何よりもラッススの音楽の一番の特徴は言葉と歌詞の結び付きである。 それぞれの言葉の抑揚と意味を同時に反映するモチーフを用い、さらに それを色彩的な和声や複雑なリズムで彩ることで、彼の音楽にはあたかも 歌詞の内容がそのまま目の前で展開されるような劇性がもたらされている。 ラッススの音楽の教会での演奏が禁止されたことがあるのも その強烈な劇的表現力が原因であろう。

このようにラッススの天才的な手腕によってポリフォニー様式の中で 劇的な世界が表現されることになる。しかし逆にそれによって ルネサンス・ポリフォニーがが異質なものに変化してしまった感は否めない。 フランドル楽派最期の巨星は、自らルネサンス音楽の幕引きを行ったとは言えまいか。

(宮内)


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